カーブを曲がる 2

自動車の場合、カーブでのスピードオーバー(法律の決めるものではなく、物理の決める限界速度)はコースアウト、横転に至ります。

 

ところでレールがあって外へ滑ることができない鉄道の場合、脱輪、脱線、転覆に至ります。子供のころに、牛乳の1Lの紙パックをボディーにおもちゃを作った記憶はありませんか? 車軸の軸受けをストローにして車体にしっかりと固定するとカーブをうまく曲がれません。車軸を直接車体に取り付けず、台車を介し、カーブを曲がる際に台車と車体の間が回転することによりスムーズにカーブを曲がれるようになります。

さて、カーブを曲がるための自由は、高速走行時のふらつきという新たな問題を生みましたが、それを乗り越えてカーブをスムーズに曲がって、安定して高速走行できる鉄道が実現しました。

これでめでたしめでたしとならないのが業深き人の世。もっと安く作れないの?という要求に応えるのが技術者。あまりスピードを出さなければという条件の下でローコスト台車が作られました。台車とは別の観点からコストカットが行われました。それは踏切事故対策。一般に乗用車との事故の場合、先頭車両のみが壊れるので、ここを安く作るという超合理的な考えが採用されています。

全ての鉄道会社がそうというわけではなく、安全という観点から、先頭車両を

安く作ったり、ローコスト台車を採用しないという会社もあれば、脱線事故に懲りて、ローコスト台車を取りやめた会社もあります。

 

さて、オーバーランをした遅れを取り戻すためにカーブでスピードオーバーして大惨事となったとされる事故についてです。処罰を決めるであろう車掌と運転指令の無線に気を取られてブレーキをかけ損ねた運転手が原因とされているようです。ところで、それ以前にオーバーランを繰り返していたことはマスコミは取り上げていないようです。Webで見ることのできる事故報告書ではこの列車の回送運転でオーバーランをして、途中駅でもわずかなオーバーランを繰り返し、80mのオーバーランからバックした時も再度オーバーランしていますまた、私物の携帯電話が、電源の状態不明で発見されており通話記録から通話はされていないことが判明していますがその他は不明です。常識的に考えれば、私物携帯電話が発見されたからといって、これを見ていてオーバーランを繰り返していたとは考えられません。事故のあった車両は、ブレーキ方式の異なる車両の混編成ですが、その編成が変更されて最初の運転と書かれた本がありました。

確固たる根拠を欠く発言に過ぎないのですが、先日の新幹線の台車破断事故を思うに、伊丹駅でブレーキの挙動を理由に運転を打ち切っていれば、定時運行を完遂できなかったペナルティー(かなり重いものですが)を受けたとしても、命を奪われることはなかったのではないかと思います。